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インボラアップグレードって?
インボランタリー・アプグレードの略で、英語ではInvoluntary Upgradeのことです。
ではそのインボランタリー・アップグレードって何?って話ですよね。
そのフライトが2クラス以上(エコノミークラス・ビジネスクラス)あって、航空便のオーバーブッキング(過剰予約)などで、エコノミークラスからビジネスクラス、ビジネスクラスからファーストクラスへアップグレードされることです。
名前の通り、インボランタリー(非自主的)なアップグレードですので、航空会社からお客様へお願いすることになります。
先ほど、私はオーバーブッキングなどと記載しましたが、他には機材故障による突然の機材変更により、エコノミークラスの座席数が減少した場合などです。機種は同じでも座席配置が異なる航空機も多くあるため、ビジネスクラスを多くして収益を上げるために、エコノミークラスの座席数を抑えている航空機もあります。
オーバーブッキングについては、皆様もよく知られていると思いますが、こちらもある一定数のキャンセル(ノーショー→空港へ来ない人のことを言います)を見込んで、あらかじめ多く予約を取っていることです。
では私たち航空会社職員はどのような方にインボラアップグレードを依頼するのでしょうか。
まずは、インボラアップグレードの条件から見ていきましょう。
インボラアップグレードの条件
当該クラスが満席であること。
基本的にこれに尽きます。
しかし…満席でなくても、座席が壊れており使用できないとき、激しく汚損しており清掃し乾燥させていると、折り返し便の時間に間に合わない場合など様々な理由があります。
いずれにしても使用できない座席があれば、満席ということなんですが…。
インボラを受けられる人の特徴
私たちは前日もしくは当日に、お客様の人数、どのような方が搭乗されるのか、乗り継ぎはあるのか、車いすを利用するのかなど、予約記録を確認しています。そこで、オーバーブッキングによるインボラアップグレードの必要性の有無などを確認しています。
必要性がある場合、ある程度アップグレードを依頼するお客様を決めておきます。
上級ステータス会員
当然ですね。航空会社からするとお得意様です。
航空会社としても離したくないお客様なので、上級会員の方からご案内します。
ただし、上級会員だからと言って必ずしも声がかかる訳ではありません。
予約クラスが高いお客様
この記事を読まれている方なら、おそらく同じエコノミークラスにも様々な料金設定がされており、その料金に応じて予約クラス(ブッキングクラス)が決まっていることはご存知の方も多いと思います。
上級ステータス会員がいない場合は、予約クラスが高いお客様を選びます。
個人のお客様であること
アップグレードは何人も発生する訳ではないので、基本的にはお一人の方を選んでいきます。
2名連れだからと言って諦めることはありません。
アップグレードが必要な人数によっては、4名連れでもアップグレードさせます。
お一人ずつお声掛けするよりも、一度に依頼できるためです。
その場合、「インボラでラッキーだったね」と機内でうっかり話さないようお願いすることもあります。正規の予約がビジネスクラスのお客様もいらっしゃるため、あまり話されると帰国後クレームになりかねません。
そういうリスクも考えて、お一人の方にお声掛けすることが多いです。
当日の服装・態度・見た目
こちらも非常に大切です。
せっかくアップグレード対象になっても、当日の服装やチェックイン時または列に並んでいるときから目立つ行動があれば、対象から外されることも少なくありません。
厳格な決まりがないので、難しいところですが、小ぎれいな方がいいのは言うまでもありませんね。ただし、私が見てきた中で当日の服装で問題があった方はいないので安心して下さい。
注意
上記理由だからと言って必ずアップグレードされる訳ではありません。
航空会社によって理由は様々だと考えられます。
「依頼しやすそうだった」
「おとなしそうな方だった」
「誕生日だった」
「記念フライトだった」
「スタッフの知り合いがたまたま搭乗する」
などがあり、本当にタイミングというのも重要かと思います。
インボラが通知されるタイミング
こちらは非常に気になるのではないでしょうか。
チェックイン時
あらかじめオーバーすることが確実で、この方にアップグレードを頼みたい!ということが事前に決まっている場合ですね。
前日の段階で決定されていることが多いです。
搭乗開始までの時
ノーショー(空港に来られないだろう)と思われるお客様がチェックインされた場合、座席の調整が必要となります。すでにエコノミークラスでチェックインされているお客様をお呼び出ししてご案内することもあります。
搭乗時
お一人ずつ搭乗券にあるバーコードを機械に通していきます。
こちらは搭乗されたお客様を判別するため、あと何名搭乗されていないのか把握するため、座席の重複が本当にないか確認するためです。
この時にお客様が持っている搭乗券に記載されている座席と、機械に登録されている座席が異なる場合「ビーッ」とエラー音がなります。もうこの時はお客様に連絡もせず、アップグレードされていることが多いので、その場で正しい座席の搭乗券をお渡しします。
受けられるサービスは?
こちらは航空会社と空港の施設にも関係してきます。
ただ単にインボラアップグレードと言っても数種類あります。
・座席のみアップグレードで、機内食はエコノミークラスのもの。
・ラウンジは利用できるが、機内食はエコノミークラスのもの。
・ビジネスクラスと同等のサービス。
基本的にはビジネスクラスと同等のサービスを受けられると思っていただいて構いません。
ただし注意があります。この規定などは、航空会社によって違うでしょう。また空港によっては機内食を製造できず、その会社の属する国、または使用機の出発地で搭載されてくることがあります。航空会社としても、無駄はなくしたいので、人数分しかビジネスクラスの機内食を搭載していないこともありますので、その場合はエコノミークラスのお食事となります。
オーバーすることが分かっていれば、事前にメッセージまたは電話でリクエストはしておきます。しかし伝えただけでは、本当に搭載されているのか分かりません。
どのようなサービスが受けられるか確定していませんので、もし幸運にもインボラアップグレードを受けられた方は、ビジネスクラスと同等だったらいいなぁなどと思っていただけたらと思います。
インボラを依頼したらお客様はどのような反応する?
「本日エコノミークラスが満席で、もしご協力いただけるのであれば、ビジネスクラスのお座席をご用意いたしますが、よろしいでしょうか。」
まず私たちはこのようにお願いをします。
お客様は「俺が?」「いいの?」という嬉しさを隠し切れない方もいらっしゃれば、「はい、分かりました」と表情を表に出さない方もいらっしゃいます。
いろいろなお客様がいらっしゃるので、その反応を見るだけでも楽しいです。
私の経験
私は海外旅行が好きなので、いろいろ行きましたが、過去に2回受けることができました。
服装に関しては2回ともポロシャツにジーパン、スニーカーです。
1回目
1回目は香港からソウルへ行くとき。この時はチェックイン時に「エコノミークラスが満席なので、ビジネスクラスへ移ってもらえませんか?」と。答えはもちろんYES!!
この時は香港のラウンジも利用でき、機内食もビジネスクラスのものでした。
当時運航したてのA380だったので嬉しさも倍増。深夜便なのと食べ過ぎで爆睡でした。着陸する前、CAさんから起こされるまで熟睡。
ちなみに当時は「シルバー会員」に相当する会員でした。
2回目
2回目はソウルから名古屋へ行くとき。この時は搭乗時でした。
搭乗券をかざすとエラー音。すると「ちょっとこちらへ」と手招きされました。
「これが新しい搭乗券です。アップグレードおめでとうございます!」と。
食事はビジネスクラスのもの。快適でした。
この時は平会員。予約クラスも全然高くありません。今でも理由は分かりません。
その他
これはインボラアップグレードではありませんが、売り出す航空券はエコノミークラスしか設定がないのに、機材にはビジネスクラスが付いているもの。ビジネスクラスをエコノミークラスに開放するというのでしょうか、それは何度かありました。
シートのみビジネスクラス、食事はエコノミークラス。十分でした。
最後に
ということで、今回はインボラアップグレードについてお伝えしました。
こちらは謎が多いのではないでしょうか。
やはり上級会員になることが一番の近道かなと感じます。
ただしインボラを狙って、無理やり価格の高い予約クラスの航空券を購入するというのは避けてください。高い予約クラスは変更手数料が無料などの制限がかなり緩くなりますが、日程が確実であれば、少しでも安い航空券を取りたいですよね。
インボラに関してはいろいろな噂が飛び交っています。
そんなインボラについて航空会社勤務の立場からお伝えしました。
それでは皆様にも幸運の女神が訪れますように。
読んでいただきありがとうございました。
以上よっしーでした。