こんにちは!
今回はTAFについて説明したいと思います。
前回METARについて詳しく説明しました。
METAR(メター)って何?と言う方は、どうぞMETARって一体なに?解読方法は?をご覧ください。METARとTAFで解説部分に重複が見られますが、TAF記事から入られた方もいらっしゃると思いますので、METAR記事と同内容を記載します。
目次
TAFとは
こちらも非常にシンプルで分かりやすいものです。これも解読できれば旅行が楽しくなるかもしれません。TAFは「タフ」と呼んでいます。
運航用飛行場予報気象通報式 のことで簡単に言うと飛行場の天気予報を英数字で構成されているもの。
日本の場合、長距離・短距離飛行用飛行場予報の通報に用いられる。飛行場相互間の予報を交換するための国際気象通報式 (FM-51 TAF) に沿って、日本の航空気象官署が予報を通報する際に用いる。
現在予報有効時間が30時間まで拡大されている。(Wikipediaより)
現在日本では、日本時間で2時・8時・14時・20時ごろに発表されていて、30時間先の空港の天気予報、風、雲、気象状況などを知ることができます。私たちがネットで見ることができるのは、2時ごろ(2時10分ごろ)発表のものであれば、2時20分までには更新されています。注意なのが、同時刻に発表していても2時50分ごろまで見ることができない空港もあります。
基本的に国際線が就航しているところに発表されています。
国によって6時間ごとだったり、3時間ごとだったりします。
それでは実際に一つずつ見ていくことにしましょう。
TAFの記載内容
それでは、このTAFに実際にはどのようなことが書かれているのでしょうか。
・発表時間
・予報有効時間
・風向、風速
・視程
・気象状況
・雲量、雲高
・最高気温、最低気温(国によります)
・次回更新時間(国によります)
天候に変化があった場合は、すぐに修正版が発行されますので非常に便利です。
それでは実際にTAFを見てみましょう。
TAFの解読
TAF RJBB 151105Z 1512/1618 22006KT 9999 -RA FEW030 BKN050
BECMG 1609/1612 05012KT
はい、これが実際のTAFです。
いかがでしょうか。
カテゴリー
TAF…天気予報の意味です。
これの他に…
TAF AMD…天気予報の修正版(Amended TAF)
TAF COR…天気予報の訂正版(Corrected TAF)
TAF CNL…天気予報の取り消し(Cancelled TAF)があります。
予報がないところでは「NIL」となっています。
空港名
RJBB…関西国際空港のICAOコード
普段あまり4ケタで空港を表すのを目にすることはないかもしれません。
RJAA…成田、RJCC…新千歳、RJFF…福岡、RJGG…名古屋、RJOO…伊丹、RJTT…羽田、ROAH…沖縄那覇というように日本であればRJあるいはROから始まります。
その他海外であれば、ZSPD…上海浦東、RKSI…ソウル仁川、RCTP…台北桃園、WSSS…シンガポールチャンギ、KJFK…ニューヨークJFK、YSSY…シドニーなどがあります。
ICAOというのは国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization)のことで、カナダのモントリオールが本部です。ICAOコードの場合、4ケタで空港を表します。
その一方IATAコードというものもあり、IATAは国際航空運送協会(International Air Transport Association)のことで航空会社で構成される団体でスイスのジュネーブとカナダのモントリオールに本拠地があります。IATAコードの場合3ケタで空港を表し、関西国際空港であればKIXなど、なじみの深いコードですね。
発表時間
151105Z…協定世界時で15日11時05分発表。日本時間は+9時間なので、15日20時05分に発表したことになります。
Zはゼブラまたはズールーと言い、協定世界時をZとします。
18世紀ごろBowditchさんが書いた航海術の本に、経度15度ごとに25のゾーンに分けてJを除き、東の方向へABCと振っていったそうです。日本は+9時間ですのでIで表されます。METARを見るとIで表示されている空港もあります。
世界には時差がありますので、みんな同じ時間を使用しないと危険です。飛行に大切な飛行計画などもZタイムで記載され、気象などでもZで記載されていることがよくあります。
発効時刻、終了時刻
1512/1618…こちらも協定世界時で記載されています。
15日12時(日本時間15日21時)~16日18時(日本時間17日3時)までの30時間です。
風向、風速
22006KT…220度(ほぼ南西)の方向から6ノット(秒速3m程度)吹くことを意味しています。
始めの3ケタが風向、後ろ2ケタが風速(平均風速)です。KTはノットのことです。1KTは約0.514m/sですのでざっくり考えて2KTであれば秒速約1mの風ということになります。
なお風向については、真北を360度(=0度)と考え、真東を90度、真南を180度、真西を270度として表しています。
VRB02KTと書かれていれば、VRB(Variable)風向不定2KT。3KT未満でかつ風向が60度以上変化する場合。
18010G24KTであれば180度の方向から平均風速が10KT、最大瞬間風速(Gust)が24KT。
平均風速と10KT以上変化がある場合にGを付けて表現します。
風速が100KTを超える場合はP99KTと表現されます。
風が全くない(0.4KT以下の)場合は00000KTと記載します。
視程(卓越視程)
9999…10,000m=10km以上(予想される卓越視程)
その他CAVOK(Cloud and Visibility OK)というのも使用されることがあります。
ただし条件があります。
・視程10km以上。
・5,000ft(約1,500m)または最大の最低扇形別高度※1のどちらか高い値未満に雲(積乱雲、塔状積雲)がない。
・予報すべき天気がない。
※1 最低扇形別高度とは、飛行場を中心に半径25海里(46km)以内に含まれる区域にあるすべての障害物の高さに1000ft(約300m)を加えて設定した緊急時(航空機が自己の位置を確認できなくなったとき)の安全飛行最低高度のこと。各空港によって異なります。
気象現象
-RA…弱い雨ということです。
ここの部分は降水現象・視程障害現象・その他の現象において、必要に応じて強度・状況を付加して予測されるものを表します。
なお、この状況が終了する、または弱くなると予測される場合はNSW(Nil significant weather)を付加します。
この気象現象についてはとても種類が多いので一覧にまとめました。
強度・状況 | |
ー | 弱い |
記号なし | 並 |
+ | 強い |
VC | 飛行場から8km以内の気象状況 |
特性 | |
TS | 雷電(Thunder Storm) |
SH | しゅう雨(Shower) |
FZ | 着氷性(Freezing) |
BC | 散在(Patches) |
MI | 地(Shallow)低いところ |
PR | 部分的(Partial) |
降水現象 | |
RA | 雨(Rain) |
DZ | 霧雨(Drizzle) |
SN | 雪(Snow) |
SG | 霧雪(Snow Grains) |
GR | 雹(Hail) |
GS | 氷霰/雪霰(Small Hail/Snow Pellets) |
PL | 凍雨(Ice Pallets) |
IC | 氷晶(Ice Crystals) |
視程障害現象 | |
BR | もや(Mist)視程1,000以上のもの |
FG | 霧(Fog)視程1,000m未満のもの |
SA | 砂(Sand) |
FU | 煙(Smoke) |
DU | 塵(ちり)(Dust) |
HZ | 煙霧(Haze) |
VA | 火山灰(Valcano Ash) |
その他 | |
SQ | スコール(Squall) |
DS | 塵嵐(Dust Storm) |
FC | 漏斗雲(Funnel Cloud) |
SS | 砂嵐(Sand Storm) |
PO | 塵旋風(Dust or Sand Whirls) |
雲量、雲底の高さ
FEW030 BKN050…少しの雲が3,000ft(900m)、隙間のある雲が5,000ft(1,500m)予測されるという状況です。
それではFEWとは、BKNとは?という話になりますので、以下にまとめました。
雲量や雲底の高さは3層まで通報されます。ただし積乱雲や塔状積雲がある場合は4層まで表現されています。高さは地上からの高さという意味のAGL(Above ground level)を使用しています。空港によって標高が違うためです。
ここで表される雲量には空(全天)を8として考えます。
それを踏まえて以下のように表現されています。
通報電文 | 意味 | 雲量(全体を8としたときの割合) |
FEW | 少しの | 1~2 |
SCT | 散在した | 3~4 |
BKN | 隙間がある | 5~7以上で隙間がある |
OVC | 全天を覆う | 8 隙間はなし |
5,000ft以下の場合は100ftごと、5,000ft以上は1,000ftごとで表されています。
いかに5,000ft以下が着陸に重要かよく分かりますね!
ちなみに、霧や雪など視程障害現象がある場合は鉛直視程を記載します。
鉛直視程(VERTICAL VISIBILITY 略:VV)とは、飛行場が霧・雨・雪などの視程障害現象に見舞われて、空港上空の雲の高さを観測することができない場合に観測されます。
操縦士が滑走路まで降下してきて、どの高さで地表を視認できるかという指標です。
こちらの単位はft(フィート)を使用しており、VV002であれば、002×100をして、200ft(約60m)くらいの高さで地表を視認できるということを表しています。
例えば…
TEMPO 1600/1603 0300 FG VV001 などです。
16日9時~12時まで一時的に卓越視程300m、霧、鉛直視程100ft(約30m)などと記載されることもあります。
その他に、CAVOKを使えるほどの気象状況ではない場合に、NSC(Nil significant cloud)というのを使用していることもあります。
気象の変化
BECMG…Becoming(だんだん、~になる)
TEMPO…Temporary(一時的に、ときどき)
この2つがあります。
BECMG 1609/1612 05012KTであれば、
16日9時(日本時間16日18時)から16日12時(16日21時)にかけて、
050度(北東)から12ノット(秒速6m程度)に変化するという意味ですね。
ちょっと説明が不足しているので、補足します。
BECMG(Becoming)とは…
予報期間の中で天気状態が規則的に、あるいは不規則に変化することが予想され、その後変化後の状態が続くと予想される場合に使用されます。
TEMPO(Temporary)とは…
変化すると予想した状態が一度もしくは繰り返し発生し、それぞれが1時間以上連続して続かず、全体としてその気象現象の予想期間が予報有効期間の1/2未満の場合に使用されます。天気現象は略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・そのほかの現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加されます。
TAF紹介(復習)
もうみなさんTAFも読めるようになったのではないでしょうか。
TAF RJCC 151105Z 1512/1618 18005KT 9999 FEW008 BKN015
まずは簡単なものから行きますね。
TAF RJCC…新千歳国際空港のTAF
151105Z…協定世界時15日11時05分(日本時間15日20時05分)発表
1512/1618…15日12時(21時)から16日18時(17時3時)まで
18005KT…180度(真南)から5ノット(秒速2.5m程度)
FEW008…少しの雲が800ft(240m)に
BKN015…隙間のある雲が1,500ft(450m)に存在する予報。
次は複雑なものに挑戦してみましょうか。
TAF RJNS 151105Z 1512/1618 04006KT 6000 -SHRA FEW004 BKN012
BECMG 1512/1514 02004KT
TEMPO 1512/1518 3000 SHRA BR FEW002 BKN004
TEMPO 1518/1600 FEW005 BKN008
BECMG 1522/1600 04006KT
BECMG 1612/1615 36004KT
いかがでしょうか?
簡単に説明しますね。日本時間で書きますね(^^)/
TAF RJNS 151105Z 1512/1618 04006KT 6000 -SHRA FEW004 BKN012
RJNS静岡空港 15日20時05分 15日21時~17日3時までの予報
040(北東)から6KT 視程6,000m 弱いしゅう雨
少しの雲が400ftに、隙間のある雲が1,200ftにある予報。
BECMG 1512/1514 02004KT
15日21時~15日23時にかけて020(北北東)から4KTへ変化
TEMPO 1512/1518 3000 SHRA BR FEW002 BKN004
15日21時~16日3時まで一時的に視程3,000mでしゅう雨、もや
少しの雲が200ft、隙間のある雲が400ft
TEMPO 1518/1600 FEW005 BKN008
16日3時~16日9時まで一時的に少しの雲が500ft、隙間のある雲が800ft
BECMG 1522/1600 04006KT
16時7時~16日9時まで040(北東)から6KTへ変化
BECMG 1612/1615 36004KT
16日21時~17日3時まで360(真北)から4KTへ変化
どうでしょうか、意外と簡単ではないでしょうか?
お天気の悪いときに新しいTAFを見つけたら追記します!
最後に
今回の記事はTAFについて書いていきました。
いいものが見つかれば更新していきますのでよろしくお願いします!
TAFを見るだけで「これは寒冷前線の通過か?」「明日はフライトが乱れそうだ」などが分かります。あくまでも予報なので変わることも多いです。
METARとTAFと少しだけ航空業界の知識について紹介しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。よっしーでした!