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適応障害とは
まずは「適応障害」とは何なのかということですね。
「適応障害」とは…
進学、就職、転職、昇進、部署異動、結婚、離婚、妊娠、出産などのストレスにより、その本人にとって日常生活や社会生活、職業、学業において耐えがたい障害が発生し、気持ちや行動に異常が発生してしまうこころの病です。一見嬉しいと思える昇進や結婚、妊娠、出産でも、その本人の環境が変わりストレスになることによって発症することもあります。
簡単に言うと、自分が置かれた新しい環境に適応できない障害ということですね。
言い換えればストレスによる過剰反応と取ることも可能です。
原因がハッキリしているため、そのストレスになっているものが除去されれば、症状が和らいでいくことが多いのも特徴の一つです。一般的にストレスを受け始めてから3か月以内に発症するとも言われており、私の場合もこれに当てはまりました。
本当に生きていれば、誰でもなる可能性がある病気だとも言えます。
適応障害の症状ってどんなものがあるの?
適応障害には心にも体にもたくさんの症状がありますが、順番に見ていくことにしましょう。
こころ
精神面での症状としては、憂うつな状態や気分の落ち込みが続く抑うつ状態や不安があります。詳しくはこのような状態になることがあります。
・強い憂うつ感があり、落ち込むようになる。
・感情がコントロールできないようになり、泣いてしまう。
・あるできごとや環境に対して神経質になり、漠然とした不安感があり、何かと心配になる。
・焦燥感、敏感、困惑、混乱し、集中力、判断力、思考力が低下する など。
からだ
身体面での症状の詳細は下記の通りです。「こころ」の症状も加わり、本当に辛くなります。
・激しい動悸、発汗、めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐、過呼吸
・肩こり、頭痛、倦怠感、疲労感、不眠
・腹痛、便秘、下痢
・食欲不振、または過食 など。
行動
行動面においても社会的身分とは外れた行動をしてしまうことがあります。
・万引きや飲酒運転を含む危険運転
・暴飲暴食、過度の飲酒、薬物乱用
・無断欠勤、無断欠席、無断早退、無断遅刻
・口論、けんか、暴力、公共施設への落書き
・自殺未遂 など多岐にわたります。
適応障害のキッカケは?
それでは、どんなことがキッカケで適応障害になるのか見ていきましょう。
適応障害は人生の転機によるストレスが原因で発症することが多いと言われており、以下のような環境の変化がある方は誰でもかかる可能性があります。また、私たちには普段から様々なストレスがかかっており、肉体的・精神的に我慢し続けても我慢できなくなったときに発症します。花粉症と同じようなもので、コップに入っているストレスが、容量オーバーであふれてしまったときだと考えてみてはいかがでしょうか。
仕事によるストレス
・人事異動や昇格、就職、転職などによる環境の変化
・高いノルマを課せられ、それが達成できない責任感の強さ
・いじめ、パワハラ、セクハラ、上司や部下、同僚との人間関係
・長時間労働や仕事量の多さ、業務目的が不明確 など
家庭によるストレス
・夫婦関係、義理の両親、義理の兄弟との人間関係
・育児や教育、子供の反抗期などの悩み
・家族の病気、介護、別居、死別
・結婚、離婚、妊娠、出産、引っ越し など
その他のストレス
・金銭問題、自身の病気、重度の病気の発覚、一人暮らし、留学
・将来への漠然とした不安
・就職活動、転職活動、受験の失敗
・近所関係の悪化、騒音問題 など
上記のようなものが挙げられます。
適応障害になりやすい人は?
一言でいうと、「責任感が強くて真面目な人」です。
心当たりはあるでしょうか。
・責任感が強い
・100か0(白か黒)かをはっきりさせたい
・休みの日も仕事が気になる
・几帳面
・真面目
・神経質
・周りの目や周りの評価が気になる
・細かいところまで気になる
・断ることができない(ノーと言えない)
・自分への自信がない
・自分のことではないのに、悪口を言われていると思い込む
・ちょっとした言葉で傷付きやすい
・頑固、よく言えばこだわりがある
・八方美人(評価が気になるから、よく思われたいから)
これらに当てはまれば、適応障害になる可能性があります。
真面目な人ほどストレスを長く引きずってしまい、それを忘れることができません。
また楽観的な人は、ストレスを感じても他で発散しているか、仕事のミスを注意しても「私知らないよ」という人もいます。幸せな人だと感じました。
よっしーは学生時代は楽観的だったと思ったのですが、というか周りから「楽観的だねー」と言われることが多かったのですが、これはもしかしたら「八方美人」だったからかもしれません。人といるときはいつも笑顔。めったに怒りをあらわにすることはありませんでした。
また何かがあっても相談できる人がいたことが大きかったです。しかし、今退職した会社では相談できる人はおらず(←思い込みです。いないと思い込んでいました。)、とにかく一人で抱え込んでしまっていました。
あとは、結局自分へ返ってくるので、休みの日でも仕事の状況をチェックしていました。
航空業界という職業柄、24時間動いています。これは順調か、あれは順調か、明日の天気はこうだから着陸できないかもしれない、遅延するかもしれない、この時間から天気が回復するから、海外の本社へ連絡して初めから遅延運航させた方がいいかもしれない、あのお客様は順調に乗り継げたか、貨物は搭載されてくるだろうか…など、すべて悪い方に考え、寝ていても夢にうなされることが多く、気の休まるときはありませんでした。
適応障害ってどのくらいの期間続くの?治療法は?
期間について
一般的に適応障害は、そのストレスになっていることから距離を置くこと、または排除することによって良くなるとされています。
そのためには、何がストレスになっているのか、原因を突き止めなければなりません。
出勤時はすごく体調が悪いが、帰宅したら元気。しかし甘えではありません。
長くてもストレス要因から離れて6ヶ月以内に症状は落ち着くとされています。
しかしながら、それ以上続くようであれば他の精神疾患と診断されることがあります。
適応障害で休職した場合、仮に復職したとしても、そのストレスから離れることができなければ、結局再発してしまうことも多くあります。
〇〇さんがいる、この雰囲気が無理、転勤は可能かなど、場合によっては転職しか方法がないこともあるのではないでしょうか。
今でこそ理解者が増えてきた精神疾患ですが、やはり精神的にやられているヤツだというレッテルを貼られると、一歩距離を置かれる可能性があります。理解のある人が近くにいるというのが、解決法の一つかもしれません。
適応障害の治療法について
先にも書いたように、ストレスの原因を特定して、そこから離れることが一番です。
そうすると自然と良くなっていきます。
先生に話を聞いてもらうなどの「精神療法」の他に、「薬物療法」と言った方法も取られることがあります。実際に私も先生に話を聞いてもらう精神療法、私の場合は睡眠薬でしたが、1錠を半分に割ったものを睡眠前に服薬するといったことで生活のリズムを整えることを目標に治療が進められています。
これも経験談なのですが、(方言が入っていてすみません)、
よっしー「先生、全く眠れんのですが。」
先生「どないしたん?なんかあったん?」
よっしー「うーん、これからどうなるんやろと眠るときに悩むんです」
先生「どうなるんかやなくて、どうないするかやねん!」
よっしー「あー」
先生「なぁ~(^^♪自分がどうしていきたいかやねんな。分かる?」
このように考え方をプラスに変えていこうというものでした。
適応障害の予防法は?
適応障害になってしまったとき、以下のような予防法は何一つできていませんでした。
そのため、適応障害になる前に私がどのようにストレスをコントロールしていたのかを紹介します。
休日にリフレッシュする
ドライブでもいいです。カラオケが好きなら一人カラオケでもいいでしょう。
友人としゃべってスッキリするのならそれもいいと思います。
また散歩やジョギング、スイミング、バスケなどのスポーツもいいですね。
私は平日休みだったので、ちょっと遠い温泉へ行ったりしてました。
誰かに相談してみる
これは私も実際にトライしました。上にも書いた通り、退職した会社の時は誰にも相談しませんでしたが、それまで悩んだときは、友人と前職の先輩、2人に聞いてもらってました。
もし親と仲が良ければ親などの家族、友人、会社つながりの人でもいいと思います。
話すことでスッキリすることもあります。信頼できる先輩からなら多少批判を受けてもいいでしょう。
私の場合前職の先輩から「それは甘えだな!お前の考え方を変えないといけないよ。でも、いつでも俺がいるから何かあれば電話して来いよ。もちろん俺からも連絡するし。」
この先輩は本当に精神的にも強い人です。尊敬している分、何を言われてもいいやという感覚になっています。私が特殊なのかもしれません。それとも当時はまだ頑張れる気力があったからかもしれません。
この先輩とはいまだにつながりがあり、何で本当に悩んでいたときに相談しなかったのだろうと後悔しています。
実際のところ、適応障害の症状が出ていたときは、誰かと連絡を取る時間もなかったというのが本当のところですね。始発で行き、終電で帰る。もう終わっていました。
だからこそ、おかしいと感じたときに、すぐに相談しましょう!
他には…
・Twitterでグチをつぶやいてみる
・メモ帳にグチを書き殴ってみる
・寝る
・歌う
・叫ぶ
・泣く
・YouTubeを見る
・映画やテレビを見る
・おいしいものを食べる
・ショッピングする
・海を眺める
・山に行く などなど
本当にいろいろとありますよ。
症状が出ると、どれをするのも苦痛になってしまってます…。
適応障害の人が周りにいたらどう対応する?
実際に私が適応障害になったときに、どうして欲しかったか、一般的にはどのような対応がいいのかというのを紹介します。
私と同じだという方は少ないかもしれませんが、少なくとも適応障害になった人は本当に苦しんでいます。他人からすると問題ではないことも、本人からすると深刻な問題となっていることがあります。当然、その症状から「甘え」と思われることもあるでしょう。
以前は、私も精神的な疾患を抱えている人に対して「何で仕事に来ないの?大事な日に限って休んで!」と怒りをあらわすこともありました。もちろん、その意見は否定しませんし、できません。それを踏まえたうえで…
ストレス原因に配慮した対応
適応障害の人は、頑張りすぎた結果、ストレスの許容量を超えてしまい異常な行動や身体的、精神的に追い込まれる疾患です。
「お前の気持ち次第だ」「気合で治せ」「こんなこともできないのか!」「それは甘えだ!」「体調が悪くなるなんて、体力が足りないんだ」などとストレスの上からストレスをかぶせるような言葉は避け、本人のストレスに応じた声掛けをしてください。
話を聞く
少しでも様子がおかしいなと思ったら、まずは話を聞いてあげてください。
本人は何がストレスなのか分からず、頑張り続けている状態かもしれません。
症状が出て休職というようになるのであれば、何が辛かったのか、何がストレスの原因になったのかを聞いてあげてください。
否定しない
これはストレスという外的要因によって発症していますので、本人に落ち度はありません。むしろ適応しようと頑張った結果、頑張りすぎてしまったという状態でしょう。
そのため、本人を否定するような対応は、その本人自身がどんどん殻を作ってしまい、そこに閉じこもってしまいます。
問い詰めない
先にも書いたように、「話を聞く」と言いましたが、過度な問い詰めは避けた方が無難です。
私の場合、その事務所の雰囲気を分からない本社の人から、執拗に何があったのかという連絡がありました。
私にとって涙が出るほど辛い日々。思い出したくありません。
少し話したら、それ以上問い詰めないでほしいと思っていました。
というより、会社の人と話すことができる精神状態ではありません。会社から電話があり、長くて1時間状況を説明させられました。
挙句の果てに「何が言いたいのか分からなかった」と言われ、電話を切られました。
期待しない
これも私の場合なのですが、「この期間には良くなってるよね?早く良くなって出社してよ!期待してるんだから。」とメールが来ていました。
正直自分でもいつ治るのか、症状の波があり今後どうなるのかサッパリ分からない状況です。
期待されて入社した会社で本当に頑張りました、しかしダメになりました。
会社の人からも「期待の新人、好青年、英語も堪能な人が入るよ!」と常務が言っていたよ。という話を聞かされていました。
もう期待しないでください。
過度な連絡は避ける
休み始めたときは、会社から毎日連絡があり、休んでいる原因、体調を崩した原因を聞かれました。
電話に出られない状態ですといっても聞かない、役職のある人たちが個人的に連絡を取ってきました。これも辛かったうちの一つです。
当然会社として連絡を取らないといけないのは分かりますが、入社したばかりの私からすれば、個人的に連絡をくれている役職のある人たちは、会社の人。いくら八方美人な私でも、まだ心を許していませんし信頼関係もありません。
気持ちはうれしいのですが、その連絡はストレスでしかありませんでした。
「俺はこいつのことをよく知っているからストレスにならないはず」と思っている方も、いらっしゃると思います。しかし、それは本人の考えなので難しいところですね。
実際に私自身連絡が来てストレスでしかない人と、うれしい人といました。
そのため、会社から本人へ連絡をする担当は1人にしぼり、定期的に本人からメールで連絡させるなどの方法でいいのではないかと思います。
まとめ
以上、適応障害について紹介しましたが、一つの病気とはいえ本当に奥が深い病気ではないでしょうか。
はたから見ると「甘え」だと考えられやすい病気ですが、本人は本当に苦しく内科に行っても原因が分からない。しかし身体と心はボロボロになっており、もがき苦しんでいます。
もし今自分が適応障害ではないかと思い、この記事にたどり着いた方、すぐに心療内科の受診をオススメします。
周りに適応障害の人がいる方、甘えと思われるかもしれませんが、それまで本人は頑張っていたと感じるところもあるのではないでしょうか。
いずれにしても重症化する前に、対処することが必要です。
そのためには周りの方の協力が必要なのも事実です。
どうかこの病気のことを知っていただきたくて、私自身の経験談も入れて記事にしました。
Photo by Davies_Designs / Pixabay